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練習すること "THE WAY I SEE IT " - STEVE CONDOS

先日書いたブラックフェイスの記事はたくさんの方々にシェアしていただき感謝です。
まだまだそのことについては書きたいことがあるので、また書きます。

今日はタップの練習をしていての気づきがあったのですが、
自分が大きなインスピレーションを受けたタップダンサーのスティーブコンドスの言葉を自分のためにもここに書いておこうと思います。

"THE WAY I SEE IT"

I've been asked many times: How do you practice? Well, to me, practice itself is an individual art. It doesn't matter how you practice if you keep improving. Improvement is the bottom line.

『練習はどのようにしてるんですか?』とよく聞かれることがあります。私にとって『練習』とは芸術そのものなのです。
どのように練習するかは問題ではありません。もし自分が上達していると感じていればそれでいいのです。『上達』することが大切なのです。

One also needs to practice on the greatest instrument, the brain! It's a lifetime study. Use your brain to think out the logic of how to practice. If your logic works, you improve; if not, throw that logic away and think anew.

In dancing, I've thrown away many rudiments that just didn't work for me. If the new rudiments work, keep them, elaborate on them, exploit them mathematically, go as far as you can go- then further.


私たちは最も素晴らしい楽器を練習しなければいけません、それは脳です!それは人生を通しての練習です。あなたの脳を使って練習の理論を考えてみてください。もしその理論が正しかったら、あなたは上達しますが、もしそれがダメならそれを捨てて新しいことを試してみてください。

ダンスにおいて自分にはあまりうまくいかなかった練習方法を今までたくさん捨ててきました。もし新しい練習方法が成功すれば、それを続けてください。そしてそれを発展させて数学的に展開させてみてください。自分自身が行けるところまで先へといき、そしてその先へ行くのです。

The process never stops. Age doesn't stop it. I've been practicing all my life, one way or another-physically, mentally, and in performance. Life becomes a practice, whether it's singing, dancing, acting, speaking, thinking, or just being a better human being. Practice in life to sustain your credibility in dance. It's very simple.


そのプロセスは終わることはありません。年齢は関係ありません。私は生涯様々な方法でずっと練習しています。肉体的にも精神的にも、そしてパフォーマンスにおいてもです。歌うこと、踊ること、演じること、話すこと、考えること、なんであっても人生そのものが練習になるのです。それは自分がより良い人間になるということかもしれません。人生において練習することはダンスを信じ続けていくことです。それはとてもシンプルなことです。 ー スティーブ・コンドス



僕自身25年タップを踊ってきて練習を続けていくこと、モチベーションを維持することは簡単なことではないなと思います。

しかし踊ることによってしか得られない答えがあって、実は踊りの中に全ての複雑と思っていた人生の答えがとても”シンプル”にあるものだと気付かされるのです。もしも自分が人生を通して練習することで日々1ミリでも自分が上達していると感じられるなら、それが一番自分にとって幸せなことかもしれません。そしてそれが信じてやりつづけることに繋がるのかなと思います。


スティーブはあるパリでの公演でのタップソロの後に楽屋でタップシューズを履いたまま仲間のタップダンサーに見守られて亡くなりましたが、

生涯現役で練習の鬼だったそうで毎日彼の家に行くと汗をダラダラ流してひたすら踊っていたと聞きました。

彼のタップの音を聞くと目をつぶってずっと聴いていたくなります。


もう一つ紹介したい言葉があったのですが、また今度書こうと思います!







by kazthehoofer77 | 2018-01-28 23:26

PREJUDICE IS IGNORANCE (差別は無知から生まれる)

今日はアメリカはマーチンルーサーキングJr.の生誕の日ということでアメリカ国民の祝日です。
娘の学校では今年は3年生ということもあり、キング牧師の話や人種の問題についても学校で学んでいるようです。
人種の問題については、特にトランプが大統領になってからはとても繊細な問題になりましたが、実際にアメリカに住んでタップダンサーとして生きてる日々の中でそのことについて考えない日はほとんどないのではないかと思います。
この国でタップを踏む上では、アメリカの、そして世界が抱える人種の問題を無視することはほとんど不可能なのです。
なぜならば根源にある問題は変わらずにあり、そして自分の身にも常にその影響を肌で感じるからなのです。

『ブラックフェイス』という言葉が日本で問題になっているのをニュースで見ました。

僕たちが尊敬するタップダンサーの先駆者であるビルボージャングルロビンソンはブラックフェイスという差別の壁を崩した一人の黒人アーティストです。

1800年代、当時のエンターテイメントの主流であったミンストレルショーでは黒人のアーティストも舞台に上がるには自らの肌の色を靴墨やコルクの炭で黒く塗り、唇誇張するなどメイクアップをするブラックフェイスをしなければ舞台に上がれませんでした。
しかしビルロビンソンは素顔で舞台に立つことを可能にし、そしてソロで踊ることが許された初めてのアーティストでした。

ブラックフェイスは白人達によって黒人を道化的に扱うことで馬鹿にした表現であり、白人達が自分たちが優位に黒人達をコントロールする差別的な手段であった為に現在でもアメリカではタブーとして扱われています。
歴史について知らない人たちが、知らないが故に黒人のように顔を黒く塗ったりすることは差別の意識がなくてもあるかもしれません。
でもそれがどれだけ侮辱的な行為なのかを知らなくてはいけないのです。
そして現在においてもただ肌が黒いという理由だけでこの数年で何人もの無実の人たちが警察に殺されたでしょうか?
このような差別は過去から現在に続いており、それがこの最近の"BLACK LIVES MATTER”の運動にも繋がってきているのだと思います。

僕が19歳でアメリカに渡り学んだことは、自分が今学んでいるタップダンスという文化も誰かが命がけで自分たちのアイデンティティを守り、繋いできてくれたことの財産であること。そこには大きな犠牲があり、悲しみがあり、それでもユーモアと笑顔をもって彼らは僕らに分け隔てなく与えてくれたのです。

ビルロビンソンが壁を崩したからこそ、それに続くエンターテイナーが現れることができた。
サミーデイビスJRがいて、そしてマイケルジャクソンのようなスターが生まれ、脈々とエンターテイメントの歴史を繋いくることができた。そういったことを涙ながらに教えてもらったことがあります。
そこには想像を絶する苦難を乗り越えてきた先人達が影にたくさんいることを忘れてはいけないと。
彼らはネガティブなエネルギーをポジティブなアートやリズムへと転換し、前に進むパワーにしてひたすらに繋いできた。
だからこそ僕はタップシューズを履き、板の上に上がるたびに感謝の気持ちと尊敬の念を感じずにはいられないのです。

いまだに僕はタップダンスのイメージも芸術というよりもミンストレルショーの時代の影を引きずっているような気がしてなりません。
なぜタップダンサーは必要以上に笑顔で踊らなくてはいけなかったか、
なぜ音やリズムは軽視されお客さんを喜ばせることだけを求められたのか、
本当のタップダンスの尊厳は本来の意味合いで尊重はまだまだされていないと感じるのです。

グレゴリーハインズは、オーディエンスに背を向けて笑うことなく床に向かってリズムをただひたすら奏で続けた初めてのタップダンサーです。彼はリズムにこだわりサウンドとして想いを伝えた。それはアフリカから海を越えて渡ってきたドラムのリズムのようです。
タップダンサーとしてのあるべき姿、本当の尊厳を彼は主張していたのだと思います。
そしてその姿の影にはたくさんのタップダンサー達への尊敬と愛をたくさん感じ、涙が出てくるのです。

今回の日本で話題になったブラックフェイスの一件に関しては、日本であまり認識されてこなかったこの歴史を知るきっかけになればと切に思います。
ほとんどの人たちは知識がないが故に、知らないという理由だけで差別を見過ごしてしまう。それは結果的に差別に加わってしまうということにもなり得ると思います。

最近、野球選手のダルビッシュが相手の選手から目を細く釣り上げるようなアジア人差別のジェスチャーをされて話題になりました。
実際に僕自身、アメリカに来るまではこれが差別的な行為であるという認識はなかったのですが、娘の学校でも稀ですがそのようなことがあるようなのです。
その選手は5試合出場停止になり謝罪をし、人種差別的な行為として処罰を受けていました。
それは適切で誠実な対応であったと思います。

人種差別的な行為があった時にそれが差別なのか差別でないのかを判断するのは難しいです。

今自分が生活している環境の中では、毎日様々な人種が様々な価値観で生活しているので、本当に日々何があるかわからないと思うのです。
もし何かが起きた時に何が一番大事かというと、僕自身はその場でどのように判断してどのように行動を起こすかがとても大事だと思います。
自分が差別される側になった時はもちろんですが、もしも自分がそのような状況に居合わせて誰かが悲しい想いをしている時に、
自分には関係がないと見過ごして黙っていることはその差別を助けていることと変わらない。
大切なのは自分が何が正しいかを判断し声を上げることではないかと思います。
今回のブラックフェイスの一件についても、それをテレビで見た人たちや、その歴史について知った人たちがそれからどのように考え動くのかがすごく大切だなと思います。
それが未来へ何かを残して行くという行為に繋がるのではないでしょうか。

僕自身は自分の日々の生活、自分のタップダンサーとしての活動の中で、これまで学んできたことを自分の生き方の中で深く掘り下げ考えていきたいと思います。
自分が日本人として、アジア人としてのこれからの生き方の中で自分のアイデンティティーを誇れるように、様々な人種の人たちや様々な価値観の人たちと繋がり、そして自分の子供達へと繋いでいけるように頑張りたいです。未来は過去の失敗から学び、変えていけると信じています。ただ、何が過ちだったのかということをまずは本当に理解し受け止め、誠実に行動していくことだと思います。もし自らに過ちがあったのなら、それを真に受け止めて謝り、また前に進んでいくことができるはずです。

マーティンルーサーキングJRの好きな言葉をここに書いておきます。

『闇は闇を追い出すことはできない 

 光だけがそれを可能にする

 憎しみは憎しみで追い払うことはできない 

 愛だけがそれを可能にする』



日本では未公開ですが、Spike Lee監督の映画でブラックフェイスをテーマにした映画『Bamboozled』があります。


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ハーレムの住宅街にある小さな公園の脇にボージャングルの壁画があります。



by kazthehoofer77 | 2018-01-17 15:22